びわ湖・長浜のホトケたち

先日、芸大美術館で開催されている「びわ湖・長浜のホトケたちⅡ」を見てきました。壮観でした。会場に入った瞬間、その場の清澄な空気が生み出す雰囲気で心身が洗われるように感じました。平安時代を中心とした、質の高い仏像がそろっていました。
以前から色々な意味でとても興味を持っていた仏様たちです。最初に興味を持ったのは白洲正子さんの「十一面観音巡礼」を読んだ時だと思います。十一面観音という仏様自体が、とても不思議で興味深い存在なのですが、その本の中に湖北にたくさんある十一面観音のことも書かれていました。
もう数十年前になりますが、そこで紹介されていた渡岸寺の十一面観音像を見に、湖北の地を訪れました。渡岸寺の十一面観音像は国宝に指定されています。その当時はよそ者がみだりに足を踏み入れてはいけないような空気感が全体にありました。今はどうなのだろう。長浜市は観光に力を入れているようで、パンフレットをいっぱいもらいましたが。私は日本中様々な所を回りましたが、その中でも特別な雰囲気のある場所のひとつでした。
湖北には十一面観音像のほかにも色々な仏像があるのですが、聖観音像が多いのも特徴的ですね。十一面観音と同じように聖観音も謎の多い仏さまです。
私が聖観音像でまず思い出すのは奈良薬師寺聖観音です。国宝ですね。お堂(東院堂)も国宝です。薬師寺といえば教科書にも出てくる薬師三尊像が有名ですが、ここの聖観音像は私にとって特別な仏さまなのです。
お参りをするには、東院堂の入り口で靴を脱がなければなりません。私がお参りし終わって靴を履こうとし、腰をかがめた時、ボキッとすごい音がしたのです。その時、それまでひどかった職業病ともいえる腰痛が治ったのです。薬師寺というのはご存知のように病気が治るというご利益があるお寺です。でも、それを本当に信じている人がどれだけいますか。本当に治ったのですよ。本当にあることなのですよ。
余談ですが、聖観音に関してもう一つ。秘仏とされている聖観音像の中に、インドの象の形をした神様(ガネーシャ)の像があるらしいのです。中には二頭が鼻を絡めているものもあるようです。ガネーシャは性の神様で、その「性」が「聖」にいつの間にか変わったものだと思います。秘仏なので長い間誰も像自体を見たことがなかったから分からなかったのでしょうね。


とにかく湖北の仏さまは、疑問いっぱい、興味津々の仏さまです。
まず、なぜ十一面観音と聖観音なのか。十一面観音と聖観音はどのような信仰対象でどのような人たちが信仰してしていたのか。すごく興味があるなあ。
平安時代の仏さまがたくさんあるのだが、このように質の高い仏像がたくさんあるということは、この地方が平安時代には特別な場所だったことが想像されますよね。どんな場所だったのか興味あるなあ。歴史の表舞台にこの地域が出てくるのは、信長の浅井攻めとその後の秀吉の支配くらいしか知らないのです。
それと、「廃仏毀釈」で徹底的にやられるのだが、なぜこの地域がそうだったのか。その時この仏様たちを守った村人たちの歴史はどのようなものだったのか。興味あるなあ。