中国の陶芸展

kokuzo2014-03-30

桜が綺麗に咲きました。先の雪の影響でかなり痛めつけられていましたが、それでも立派に咲きました。新宿中央公園にある、雪のために太い枝が折れてしまい半分くらいの大きさになってしまった二本の桜も、たくさんの花をつけていました。ちょっと感動的でした。今年は、いつもは一足先に咲く白蓮やコブシも一緒に咲いていて、華やかです。これも雪の影響でしょうか。


先週、五島美術館で「中国の陶芸展」を見てきました。一番新しいもので17世紀くらいのものでしたが、私は13、4世紀までのものに特に惹かれました。奇を衒うこともなく、素朴で素直な感じがいいですね。特別なものというより、当たり前のもの、普通のものという感じです。ですからものすごく感動するという事はないのですが、なんとはなしにほんのりと「ああ、いいなあ」と思えるのですね。日常的に使ういいものというのは、そういうものだと思いました。
青磁もたくさん出ていました。青磁と一言で言っても、いろいろな色があるのです。砧青磁のように本当にブルーのものもありますが、多くはむしろグリーンと言ったほうがいいですね。まあ、昔は緑も青と表現されていたということなので。。。吉本隆明さんが多摩美での講演で、そう言ってました。講演の内容は全く覚えていないのですが、なぜかこのことだけが記憶に残っています。多分、言語化と認識についての講演だったと思います。
我が家にも昔から青磁の花瓶がひとつあります。多分中国のものだと思うのですが、子供の頃から、時には花が生けられて床の間に置かれたりしていたのを見て、とても惹かれていました。形は決まりものなのでしょうが、独特で特別なもののように感じられました。しかし、最も惹かれたのはやはりその色です。緑がかった水色の、瑪瑙のような深みのある色が心に強く残りました。そして、それが「青磁」というものだと知った時から、「青磁」は私の中で特別なものになりました。
江戸時代になると陶芸技術は我が国の方が優れて来ると思うのです。その結果、恣意的なものや装飾的で絢爛豪華な焼き物が我が国で作られるようになりましたが、いまひとつ好きになれないのだなあ。これらは日常的に使われるものではなく、装飾品や美術品と言われるものです。ですから同じ基準で評価すべきものではないのですが、好き嫌いはそんなこと関係ないですから。。。いかん、なんか柳宗悦のようになってしまうな。
わざと歪めたりするのも好きではないですね。そのようにしてできたもので本当にいいと思ったものはないです。展示されていたものは、よく見るとみな微妙に歪んでいるのです。とても自然に。技術が高度になると全く歪みのないものができるようになる。そうするとわざと歪ませたくなるのでしょうか。完璧なものを求めながら一方で不完全なものに惹かれる。おもしろいですね。
第2展示場には中国の銅鏡がずらっと並んでいました。これは禍々しかったなあ。呪術に使用したのは間違いないですね。それ以外考えられない。怖くなって早々に退散しました。これはいかんです。


最後にお庭をひと回りして帰途に着きました。やはり雪の影響で草木はかなり痛めつけられていましたが、薄緑色の新芽がたくさん出ていました。庭の一角では白蓮と枝垂れの桜が満開でした。そばにあるコブシの古木も優雅な花をつけていました。馬酔木やすみれ、名を知らぬ小さな花々がさりげなく咲き、美しい季節を感じることができました。