自動車レースと乙武さん

先日、ホンダがF1に復帰し、あのマクラーレン-ホンダが復活するという発表がありました。来年からF1エンジンがターボエンジンになるのです。再来年からだと思っていたのですが、来年からなんですね。(やっぱり再来年からでした。)それに関してスポーツライター玉木正之さんが面白いことを書いていました。「ホンダに必要なのは寿司職人だ」と。(http://news-log.jp/archives/8468)
私も以前、トヨタとホンダがF1から撤退した時に書きましたが、ヨーロッパの人たちにとってF1は文化なのです。もちろん企業宣伝や技術開発という面もありますが、まず文化なのです。ですからどんなに苦しくてもフェラーリルノーメルセデスもF1を支えてきたのです。
F1には莫大なお金がかかります。もちろんそれによる収益も莫大です。しかし、F1を金儲けの手段と考えてはいけないのです。これはポトラッチなのですから。莫大な浪費なのです。それが文化ということです。ホンダにはそれがわかっているのだろうか。わかっていないならば、F1に参加する資格はないということなのですよ。
以前BS放送で、英国の貴族が自分の領地にサーキットを作り、毎年クラシックカーのレースを開催しているという番組を見ました。英国が誇るジャガーだけのレースなどもあり、英国人にとって自動車そのものが文化なのだということがよくわかりました。だからこそモーガンのような木製シャーシの車が生き残ってきたわけです。
ところで今週末はモナコですね。モナコGPはほとんど予選で決まってしまうから、レース自体はあまり面白くないのですが、やはり特別だな。特に文化という意味では。いけね!!! これ書いてたら、予選見逃してしまった。ロズベルグか。なら面白くなるかも。
自動車レースに関してもうひとつ。来年からフォーミュラEという、新しいカテゴリーのレースが始まります。電気自動車による、フォーミュラカーのレースです。ここで問題になっているのが、この前書いたように音です。電気自動車だとエンジン音がないので、無音でレーシングカーが走るというようなことになってしまうわけです。想像しただけでも、これはシュールだ。
遠くから甲高いエンジン音が聞こえてきて、あっという間に目の前を通り過ぎ、消えてゆく。これも自動車レースの醍醐味のひとつなのだが。知らないうちに車が近づいて来て通り過ぎるなんてことになるのだろうか。興奮しないな。音をつけるというのだが、どんなもんだろうか。東横線はクイーンというモーター音がするけど。



最近ネットで発生したちょっとした騒動と言えば、乙武洋匡さんが銀座のイタリアンレストランで車椅子が理由で入店を拒否されたというやつですね。これだけを読んだ人は、「このお店はけしからん」ということになると思うのですが、実際はそんなに単純じゃないのですよ。
この騒動をご存知でない方は、こちらのブログを参考にしてください。ひとつは乙武さん自身がこのことについて書いたもの。もうひとつは、この騒動が起きた後にこのお店をレポートしたものです。
http://ototake.com/mail/307/http://kasakoblog.exblog.jp/20523301
私がこの騒動で注目したのは、「入店拒否」というこの問題の本体ではなく、これによって沸き起こったネット上でのツイートなどです。もちろんこの件に関したツイートなどをすべて読んだわけではないですので、あくまでも私が目にしたごく狭い範囲でのことなのですが。
やはりまずお店に対する非難が起こりますよね。それと同時に乙武さんに対する非難も起こります。乙武さんに対する非難には、ヘイトスピーチまがいのものがたくさんあるわけで、それはゴミだから無視。しかし、このどちらでもない、両者から距離をとった、冷静なツイートがとても少ないように思うのです。これはツイートが持っている特性のような気がしないでもないのですね。何か冷静じゃない。
このような中で一番嫌なのは、お店を非難する側のツイートに見かける、「私は正しい」「私は正義だ」「私に反対するものは赦さない」というやつですね。ヘイトスピーチより嫌かもしれない。何しろ正義を振りかざし、反対意見には聞く耳持たぬという態度で、とにかく始末に悪い。イスラム原理主義と同じだ。このような人たちは、本当にやりきれない。この不寛容さにはウンザリだ。
もう一つ最悪だと思うのは、人格非難をする人たちですね。人格非難をする人たちは、そうすることで自分の人格が損なわれていることに気がついていないのだろうな。ジャーナリストと称して人格非難の記事を書き続けている人もいるわけで、週刊誌にはそういう記事があふれている。今時、街中で週刊誌を読んでいる人を見かけなくなったが、当然でしょうね。



Twitterは短い文章でダイレクトに書くところがいいのだけれど、それが欠点でもあることを心しておく必要があるな。