先週の建築

先週は建築に関する話題がいくつかありました。一番大きいのは新国立競技場の基本設計が発表されたことでしょうか。今だになんやかんやと話題が尽きないですが、やっと基本設計が公表されました。当の国立競技場は今月から取り壊しが始まります。建築家協会が取り壊しの中止を求めたりしていますが、意味ないなあ。まあ、建築家協会自体が意味のない組織だとも思うし。おっと、私も建築家協会の会員だった。でも会費払っていませんから。現在の国立競技場の改修案などというのも出されましたが、今更なんでしょうかね。あんなポンチ絵のようなものを今頃出してきて、恥ずかしくないのでしょうかね。
基本設計は、日建設計、梓設計、日本設計とアルプの共同企業体(JV)が担当しています。日建設計、梓設計、日本設計は我が国を代表する総合設計事務所です。アルプというのは、先週書きましたエンジニアリングの会社です。英国を本拠地にする、アルプさんという建築構造家が設立した、総合エンジニアリング会社です。先週紹介した深セン国際空港ターミナルの設計にも参加しています。深センでは省エネなどの環境設計と火災時の安全設計を担当しています。
発表された基本設計はここからダウンロードできます。
http://www.jpnsport.go.jp/newstadium//tabid/411/Default.aspx
いろいろな批判があったためでしょうね、なんかこじんまりしてしまったなあ。最高高さが5mほど下がり、エッジの高さも低く抑えられています。ザハの案のダイナミックさが失われてしまい、魅力半減ではあります。ただ、今までの経緯があるので、あえてそういう表現にしているのではないかという気もしないではないです。まあ、ダイナミックさと言っても上空からでなければそれを見ることができないわけで、普通ではそのような視点を取れないのですから、あまり大きな問題ではないかも。
これは基本設計ですから、これから実施設計に移って行くわけです。実施設計も基本設計と同じJVで行われるはずです。実施設計はもちろん基本設計をもとにして行われるますので、大枠はあまり変わらないとは思いますが、内容や細部は結構変わるかもしれないです。まあ、極端な言い方をすれば、基本設計というのは図式みたいなものですから。仕切り直しして、また一から出直しというところでしょう。解体工事が完了するまでにどのくらいの期間が必要なのかわからないのですが、一応それまでに実施設計が終了していなければいけないとは思います。
私は正直なところ新国立競技場にはちょっとワクワクしています。


もう一つは震災復興の防潮堤の問題ですね。これは建築ではなくて土木ですね。地元住民が防潮堤の建設に反対しているのに県(宮城県ですが)が強引に進めようとしているのです。県というより県知事ですね。変に凝り固まった信念と言うのだろうか、本当に厄介な奴ですよ。震災復興も防潮堤ありきで、防潮堤なしではどんな復興計画も認めないというのだから、本当に厄介だ。
人命の安全を守るのが自治体の役目だという、誰にも反対できない理由を黄門様の印籠のように振りかざして来るのだから、本当に厄介だ。100年に一度の大きさの津波のために、毎日を不快な気分で過せというのだろうか。住民は津波の危険性を前提にして海の近くに住んでいるはずで、それはそれ以上の魅力があるからではないのかなあ。100年に一度の安全のために魅力ない場所に住みたいとは思わないなあ。


最後にもう一つ。昨日新聞の新刊本の紹介(宣伝)欄を見たら、「浅田 孝」という書名を見つけました。副題に「つくらない建築家、日本初の都市プランナー」とありました。浅田孝さんが亡くなって、もう20年以上になるのですね。浅田孝という名を知っている方は少ないと思います。哲学者の浅田彰さんは甥にあたるそうです。
私は浅田さんに直接お会いしたことはないのですが、事あるたびに浅田さんの話は聞かされてきました。私にとっては伝説のような人ですね。浅田さんの所へ行くと延々と話が続き夜中になるまで帰れないとか、菊竹さんがスカイハウスの下でパーティーを開いたとき、縁の下で酒を飲ますのかと毒づいたとか、いろいろ面白い話を聞きました。中でも、浅田さんの「東京の人口がパリの3倍あるのは、パリの3倍の風が吹くからさ」という話は印象に残っています。この話を聞いたときはピンと来なかったのですが、今はすごく核心をついているのではないかと思っています。まあ、東京の人口はパリの3倍どころではないですが。
築地市場の移転が実際に動き出しましたが、何十年も前に浅田さんたちがが現在の築地市場を稼働させながら、現在地で建て替える案を作っていたのではなかったかな。確かそうだと思います。
この本は、ちょっと興味ありますね。読んでみるかな。